WordPress Studioでの新しいサイト作成が、これまで以上にスピーディーになる新機能が登場。この記事では、バージョン 1.6.0 から追加された「ブループリント」についてご紹介します。
ブループリントを使えば、WordPress サイトを空の状態から始める必要はありません。一度お気に入りの初期設定をしておけば、それを繰り返し利用できます。チームで標準的な構成を採用している場合は、それをブループリントにしておくことで、すべてのプロジェクトを一貫性のある、効率的な形で進めることができます。
このブループリントは、自分でカスタマイズすることも可能。厳選されたコレクションの中から選ぶこともできます。
以下のショートデモでは、この新機能の実際の動きを解説しています。
Studio でのブループリントの使い方
ブループリントは、WordPress サイトのための軽量な JSON 形式のいわば「レシピ」です。サイト全体のコピーを保存する代わりに、Studio にどのバージョン、プラグイン、設定を適用すべきかを指示します。これにより、いつでも同じ環境を再現できるようになります。
多くのローカル開発ツールは、サイズが大きく共有が難しい完全なサイトスナップショットに依存しています。また、特定の環境にロックされがちです。
一方、Studio のブループリントは軽量で共有しやすく、どんな環境でも同じ構成を再現できる「明示的な設定ファイル」です。どの環境でも同じサイト構成を即座に再現できます。これにより、チーム間での同期が容易になり、テストや改善もスムーズに行えます。
ブループリントからローカルサイトを作成する機能は、Studio 内の標準的な新規サイト作成フローに組み込まれています。Studio は WordPress Playground 上で動作しているため、もし Playground のブループリントを使ったことがある場合は、同じものをそのまま使用することも、提供されている無料のおすすめブループリントを利用することもできます。
ブループリントからのサイト構築の手順はこちら:
まずは Studio をインストール。トップ画面左下の「サイトを追加」ボタンをクリックすると、次のような画面が表示されます。

「ブループリントから始める」を選択すると、便利なブループリントのギャラリーと、自分でカスタマイズしたブループリントを選ぶオプションが表示されます。

Studio には現在、注目すべき3つのブループリントが含まれています:
- クイックスタート:WordPress.com のビジネスプランを模したローカルサイトをセットアップし、本番に近い環境で構築が可能。
- 開発:テーマやプラグイン開発向けに最適化された構成で、Plugin Check や Create Block Theme などのツールをプリインストール。
- コマース:WooCommerce と関連プラグインを搭載し、すぐに利用できるストア環境を提供。
目的に合ったブループリントがあれば、それを選択して「続行」をクリック。カスタマイズしたブループリントを使いたい場合は、「ブループリントファイルを選択」をクリックし、コンピューターから JSON ファイルを選択して「続行」を押します。
次にサイト名を入力します。WordPress や PHP のバージョン設定など、詳細なオプションにアクセスするには「詳細設定」へ。準備ができたら「サイトを追加」をクリックします。

裏側では、Studio が選択または追加したブループリントからサイトを構築します。この操作の流れは、Studio で空のサイトを追加するときとほぼ同じです。
ブループリント対応のワークフロー
ブループリントは、は、個人でもチームでも、作業スピードと一貫性を高めます。
この機能を活用することで、以下のようなメリットが期待できます:
- 繰り返し可能なセットアップを効率化:ブログ、ポートフォリオ、ネットショップなど、よく使うサイトタイプのブループリントを作成。Studio で新しいプロジェクトを立ち上げる際、最適な構成で即作業を開始可能。
- チームを整合させる:プロジェクトの GitHub リポジトリに
blueprint.jsonを追加。プラグイン、テーマ、フルサイト開発のいずれでも、全員が同じ環境でスタート可能です。バージョン管理により、変更内容のレビューと整合性も確保。 - デモやテストを簡素化:特定のテーマ、プラグイン、サンプルコンテンツを含む環境を即構築。バグの再現や修正確認も、信頼できるセットアップで実行できます。
Studio の便利なブループリントは API を通じて提供されており、新しいブループリントが公開されると自動的にアプリに反映されます。ぜひ試してみて、利用方法や追加してほしい機能などのフィードバックをコメント欄や GitHub でお知らせください。
自分だけのブループリントを作成したい場合は、「ブループリントをカスタマイズする方法」ガイドをご覧ください。すでに WordPress Playground のブループリントを使用している場合は、Studio でも再利用できます。いくつかの違いがありますが、それらもガイド内で詳しく説明されています。
Studio の今後は?
今回のリリースで追加されたブループリントのサポートと便利なブループリントは、最初のステップに過ぎません。この機能は今後、多くの Studio ワークフローの中心的な役割を担うと考えています。そのため、さらなる拡張や改善を予定しています。
また、WordPress.com 上にブループリントを作成・保存・共有できる「ブループリントの公開ライブラリ」の実現も検討中です。
当面予定している開発ポイントは次のとおりです:
- 高度な Studio CLI:コマンドラインから Studio サイトの作成や、本番・ステージング環境とのコンテンツ同期を実現。初期段階の機能はすでに実装済み。
- サイト作成の簡素化:Studio から WordPress.com 上にライブサイトを直接作成したり、既存サイトを Studio に取り込んだりする流れをよりスムーズに。
- パフォーマンスの改善:WordPress Playground の改良により、Studio の動作速度と応答性をさらに向上。
Studio の GitHub リポジトリには、Studio の今後やヒント・質問などを自由に意見交換できる「GitHub Discussions」を設けました。バグやプルリクエストを補完する役割を担っています。プロダクトチームも積極的に参加していますので、ぜひご参加ください。
Studio は進化を続けている無料でオープンソースです。まだ Studio を試したことがない方も、またはしばらく触っていない方も、この機会に利用してみてください。