12月2日、WordPress の共同創設者 Matt Mullenweb、エグゼクティブディレクター Mary Hubbard、リードアーキテクト Matias Ventura がサンフランシスコのステージに登場し、世界中から集まったコントリビューターやゲストとともにイベントが行われました。
そして初めて、主要な WordPress のリリースが基調講演中にライブで発表されました。WordPress 6.9 が会場とオンラインの観客が見守る中でリリースされたのです。
ライブストリームを見逃した場合は、以下からフル録画を視聴できます:
2025 年のハイライト
2025 年は WordPress にとって節目の年となりました。
2 回のメジャーリリース、過去最多となる初参加のコントリビューター数、そしてグローバルでの採用拡大、とくに非英語圏での成長が顕著でした。
特に印象的だったポイントは以下のとおりです:
- WordPress は引き続きオープンウェブを支える存在に。すべてのウェブサイトの約 43% が WordPress を使用しており、CMS 市場シェアは約 60%。トップ 1,000 サイトでは 49.4% に達し、昨年より 2.3% 上昇しました。
- 真のグローバルコミュニティへ。初めて WordPress サイトの 56% 以上が英語以外の言語に。日本語は世界で 2 番目に多く使われる言語となり、日本国内ではウェブサイトシェアが 58.5%、CMS シェアが 83% に達しました。
- エコシステムの進化。60,000 を超えるプラグインが公開され、年間ダウンロード数は 21 億件に到達予定。ブロックテーマは 40% 以上増加し、1,000 テーマを突破。
- コントリビューター数が過去最高に。WordPress 6.8 には 921 名が参加。6.9 では 900 名を超え、そのうち 230 名が初参加でした。
- WordPress 6.9 がステージ上でライブ公開。基調講演が終わる頃には、すでに 70 万以上のサイトがアップデートを適用済みに。
ヒント:WordPress 6.9 の新機能については、サイト運営者・開発者向けの記事で詳しく紹介しています。
AI が主役に
今年の AI パネルには、James LePage (Automattic)、Felix Arntz (Google)、 Jeff Paul (10up)、が登壇しました。
基調講演の中心テーマの一つは、AIが WordPress の基盤となりつつあるということです。
Matt Mullenwegは、今年専任の AI チームが発足したことを発表。わずか半年で以下の 4 つの“基礎ブロック”をリリースしました:
- Abilities API:プラグイン、テーマ、WordPress コアの機能を AI エージェントが理解できる標準化された形式で公開する仕組み。
- WP AI クライアント:OpenAI、Anthropic、Google など、どの AI モデルともやり取りできる抽象化レイヤー。特定のプロバイダーに依存しないプロンプト記述が可能になります。
- MCPアダプター:Abilities API と AI プロバイダーを Model Context Protocol 経由で接続し、AI アシスタントが WordPress を理解して操作できるようにするツール。
- AI 実験プラグイン:現在 WordPress.org のプラグインリポジトリで公開中。
さらに、基調講演では自然言語から Gutenberg ブロックを生成するツール Telex のデモも行われました。
基調講演中、Mullenweg氏により、Nick Hamze氏がこれを用いてコードを書かずにどのように Lego 価格計算ツールや Google カレンダー連携したかを披露しました。

これらの基盤により、WordPress 7.0 で見込まれる進化:
機能を組み合わせるためのワークフロー API、AI アシスタンスによる共同編集、そして WP AI クライアントのコア統合です。
AI 機能はまだ UI 上で目立つ形ではありませんが、WordPress はすでに AI に理解可能な状態になっており、次のステップに向けた土台が整いました。
ヒント:WordPress.com のユーザーは、サイトをより早く簡単に作成、デザイン、カスタマイズ、立ち上げるのを助けるAI ウェブサイトビルダーも探索できます。
世界で広がる WordPress
基調講演では、WordPress の国際的な広がりも発表されました:
- 81 の WordCamp が 39 カ国で開催。5,200 名以上のボランティアが運営し、対面で 10 万人以上が参加。年内にはさらに 16 の開催が予定されています。
- Learn.wordpress.org は 150 万ユーザーを突破。WordCamp US 2025 以降、平均エンゲージメントは 32% 上昇。
- 大学での教育プログラムも拡大中。Campus Connect は大学に WordPress を導入しており、コスタリカのフィデリタス大学の Stephanie Garita Johnson が、学生がオープンソースに寄与することで学術単位を取得できるようになったことについて話しました。
- ニカラグアのユースデーでは、8〜20 歳の 75 名が初めての WordPress サイトを制作し、ティーンがティーンを教えるという取り組みも。
エコシステムとインフラの進化
WordPress は、より迅速に出荷され、テストが容易になり、更新が安全になっています。
今年の改善の多くは、プラグイン開発者の負担軽減や新規サイト構築・移行の高速化に集中しました:
- プラグイン審査が 7 日以内に短縮。AI を活用したプロセスにより、昨年より週あたり 100 件多く審査可能に。
- 自動更新の 24 時間セーフティウィンドウを導入し、リリース初期の問題を広範囲へ展開する前に検知しやすく。
- WordPress Playground は 227 カ国から 140 万ユーザーに。ファイルブラウザ、ブループリントギャラリー、安定版 CLI を搭載。
Q&A セッションから抜粋
コミュニティの Q&A ではいくつかのトピックが取り上げられました:
ドメインとオンラインプレゼンスの所有について
Mullenweg 氏は「ドメインはウェブ上のあなたの不動産」と強調。
子どもが生まれたときにドメインを買っておくべきだとすすめ、「ドメインがないと、デジタル小作人のようなもの」と表現しました。
「Agentic web (エージェントウェブ)」と AI について
AI ツールがウェブ閲覧・操作を始める未来に向けて、マークダウン形式のページ提供や、コンテンツ帰属のためのマイクロペイメント導入の可能性に言及しました。
オープンソーシャルプラットフォームについて
自身のドメインをユーザー名として利用できる Bluesky を好例として挙げ、X も外部リンクの扱いが改善していると述べました。
WordPress.com で WordPress 6.9 を体験
今回の State of the Word は、WordPress が急速に進化していることを改めて示しました。AI 基盤、グローバルコミュニティ、より使いやすく協力しやすいツールセット。WordPress の未来はさらに明るく広がっています。
WordPress 6.9 はすでに WordPress.com 上で利用可能です。詳しい解説はこちらからご覧ください:
ライブ配信を見逃した方は、上部の録画をご覧ください。
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