これまで、AI を組み込んだ WordPress プラグインは、それぞれ独自に基盤を構築する必要がありました。
しかし、WordPress 7.0では状況が変わります。
サイト全体で AI を活用するための共通インフラが導入されるからです。
AI ツールはサイトの機能を把握し、共通のインターフェースを通じて AI サービスにアクセスできるようになります。さらに、プラグイン間をまたいだ操作も可能になり、個別の連携コードは不要になります。
Abilities API:サイトの機能を定義
WordPress 6.9で導入された Abilities API は、このインフラの基盤となる重要な要素です。プラグインの機能を、AI や他のツールが理解して使える形で登録できるようにします。
- 実行できる操作
- 操作に必要な入力データ
- 実行後に返す情報
- 必要な権限
こうした仕組みにより、AI アシスタントや自動化ツールは、プラグインごとに個別の実装を行うことなく、WordPress と連携できます。
登録された情報は、REST API や MCP(Model Context Protocol)アダプターを通じて取得できます。
Zapier のような自動化ツールや Claude のような AI アシスタントが、利用できる機能を把握し、それに基づいて処理を実行します。
例えば、WooCommerce は在庫状況の更新、注文データの取得、商品属性の変更といった機能を登録できます。AI アシスタントは、登録した機能を自動的に検出します。WooCommerce 専用の個別連携を用意する必要はなく、プラグイン側で登録された機能をそのまま利用できます。
WordPress AI クライアント:AI モデルへの共通インターフェース
これまでは、AI を利用するプラグインごとに、認証、リクエストの形式、レスポンスの解析などを個別に実装する必要がありました。
新たに導入される AI クライアントは、AI モデルを利用するための共通インターフェースです。開発者は、どの AI プロバイダーでも、共通のインターフェースから AI モデルにプロンプトを送信できます。
さらに、Connectors API の導入により、AI プロバイダーとの接続を一元管理できます。サイト管理者は専用の設定画面から接続を設定すれば、その設定をサイト内のすべてのプラグインで共有できます。

これにより、複数のプラグインを連携させたワークフローを構築できます。
例えば、WooCommerce から商品データを取得し、AI モデルに渡して商品説明文を生成する、といった複数のツールを連携させる処理を専用の連携コードなしでできます。
開発者は、同じような連携機能を何度も実装する必要がなくなります。サイトオーナーも、一度設定するだけで、サイト全体で AI 機能を利用できます。
MCP アダプター:外部 AI ツールとの接続
MCP(Model Context Protocol)は、AI アシスタントと外部ツールを接続するための標準仕様です。WordPress の MCP アダプターはこの仕様に対応し、外部ツールからサイト機能を利用できます。
このアダプター自体は WordPress コアとは別に提供されており、7.0 以前から利用可能でしたが、今回の新しい AI インフラによって、より実用的に活用できます。
これにより、Claude、ChatGPT、Gemini などの AI がサイトの機能を認識し、直接操作できます。
例えば、以下のような操作が可能になります。
- 自然言語で複数の記事を一括更新する
- 属性の不一致がある WooCommerce 商品を検出し、まとめて修正する
- 注文データを分析し、売上傾向や返品傾向を把握する
各コンポーネントの役割
各コンポーネントは、それぞれ異なる役割を担います。
- Abilities API:サイトの機能を定義
- AI クライアント:AI モデルとの接続を統一
- MCP アダプター:外部 AI に機能を公開
例えば、
これらの組み合わせにより、複数のプラグインにまたがるワークフローを実現できます。
- AI が WordPress から記事を取得
- AI モデルがその内容を分析
- AI が Abilities API 経由でメタデータを更新
共通のインターフェース上で動作するため、各機能は特定のプラグインに限定されず、サイト全体で利用できます。必要な機能を組み合わせれば、専用の連携コードなしで、複数のプラグインを連携させたワークフローを柔軟に構築できます。
WordPress.com での活用
WordPress.com では、すでに利用可能です。
エディターやメディアライブラリから AI アシスタントを呼び出し、文章の作成・リライト、レイアウトの調整、画像生成をシームレスに行うことができます。また、WordPress サイトを Claude と連携することで、コンテンツの分析や改善提案を受け、そのままサイトに反映することも可能です。

開発者向けには、WordPress Studio が提供されています。Claude Code などと組み合わせて、プラグイン、テーマの開発・テストを効率的に行えます。さらにTelexを活用すれば、プロンプトからブロックやテーマを生成し、そのままサイトへ追加することも可能です。

まとめ
WordPress 7.0 で導入される AI インフラにより、AI を活用した機能やワークフローの可能性は大きく広がります。
Abilities API と AI クライアント という共通基盤により、開発者はより高度な機能を効率的に実装できます。
WordPressは、AI を利用する場から、AI を前提としたプラットフォームへと進化しつつあります。
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