ムンバイで開催された WordCamp Asia 2026 が、大盛況のうちに幕を閉じました。世界中からユーザー、開発者、クリエイターがジオ・ワールド・コンベンション・センターに集まり、3日間にわたって共に学び、親睦を深めた、WordPress 史上最大級のイベントとなりました。

ハイライトを振り返る前に、まずは本イベントの主催者、ボランティア、スピーカー、地元ムンバイやインド国内はもちろん、世界中から集まった参加者の皆さんに心から感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

コントリビューター・デイの開幕

「コントリビューター・デイ」という言葉に馴染みがない方もいるかもしれませんが、参加者が集まり、オープンソースである WordPress を自分たちの手でより良く、進化させていく(貢献)ための日です。コードを書くことはもちろん、マニュアルの整備や翻訳、コミュニティの運営計画を練るなど、様々な形でこのプロジェクトのサポートをします。

ここでは、目にみえる成果だけではなく、人と人のつながりが生まれます。

新しいコントリビューターと、10年以上 WordPress コアに関わってきたベテランたちが一緒に作業し、アイデアを交わす姿がありました。そこでは新たな出会いが生まれるだけでなく、旧知の仲間との再会をする場でもあります。こうしたコミュニティの固い絆が、WordPress の成長を支える原動力になっています。

イベントの詳細はこちらからご覧ください。

注目のセッション紹介

コントリビューター・デイ後には、エンタープライズ規模の拡張性からクロスボーダー決済まで、あらゆるトピックを網羅したセッションが目白押しでした。全セッション内容は YouTube で視聴可能ですが、私たちが実際に参加し、皆さんに視聴していただきたいと思った注目のセッションをいくつかご紹介します。

WordPress エコシステムにおける教育の取り組み

WordPress Education をテーマにしたパネルディスカッションでは、学生に直接 WordPress を届ける取り組みが紹介されました。キャンパス内でのイベントや学生クラブほか、大学と提携して WordPress を正規のカリキュラムに組み込んだ単位認定プログラムなど、次世代のウェブクリエイターを育てる活動が広がっています。

学生たちがオープンソースに実際に関わりながら、経験を積めるこの取り組みは、未来のウェブ制作を育てる土台になっています。

スピードビルドチャレンジ

Automattic 社の Jamie Marsland がモデレーターを務めたこのセッションは、会場が満員になるほどの盛り上がりでした。Ajay Maurya 氏と Craig Gomes 氏が対決し、一人は AI を活用、もう一人は従来の手法のみで挑戦ーFull Site Editor だけを使い、30分でサイトを全体を再構築します。ページビルダーもカスタムコードも使わないという条件です。

結果は「どちらが勝った」と判定できないほどの接戦で、それがかえって会場を沸かせていました。

Google ブースに Danny Sullivan 氏が登場

Googleのサーチ・ディレクターであり、SEO 分野で広く知られる Danny Sullivan 氏が、Googleブースに登場し、WordPress ユーザーへ 1 対 1 でアドバイスをしていました。公式セッションではありませんでしたが、こうした出会いがあるのも WordCamp ならではです。

特に印象的だったのは、「質の高いコンテンツが SEO において重要」という基本原則は、AI 時代でも変わらないという言葉です。

その一方で、明確な視点や独自の切り口、はっきりとした立ち位置を持つことが、これまで以上に重要だとも強調していました。それがなければ、コンテンツはどこにでもある情報にとどまり、LLMに引用される、価値あるソースとはみなされにくくなるということです。

つまり、コンテンツの重要性は今も変わらない、というメッセージでした。

Mary Hubbard の魔法の杖

WordPress のエグゼクティブディレクター Mary Hubbard 氏は、「魔法の杖があったら、WordPress の何を変えたいですか」という問いに対して彼女はこう答えました。「WordPress.org のプラグインディレクトリを、単なるインフラから、ひとつのプロダクトとして捉え直し、改善していくことです」。この回答には多くの参加者がうなずき、そのビジョンが現実になるよう、サポートしていきたいと感じていました。

AI の話題は至るところで

カンファレンス全体を通じて、AI はたびたび話題に上がりました。中でも印象的だったのが、ムンバイを拠点に活動する起業家 Nirav Mehta 氏のセッションです。

「AI の不思議の国での迷子と発見」(Lost & Found in AI Wonderland) と題した彼の講演では、彼のチームが開発、マーケティング、運用の各領域で AI を導入しようとした際に、実際にうまくいったこと、うまくいかなかったことが紹介されました。

Nirav 氏は、AI はハンマーと同じく、あくまで道具だと語りました。ハンマーを持つと、何でも釘に見えてしまいます。AI も同じで、常に最適な手段とは限りません。AI への期待が高まる今だから、こうした冷静な意見は新鮮でした。

WordPress.com:ムンバイで紹介した最新情報

WordPress.com も、いくつかの発表やデモを携えて参加しました。ブースでは 1 週間を通じて多くの方と話が弾み、会話が途切れることはありませんでした。

すべての有料プランでのプラグインとテーマが利用可能に:今回のブースで私たちが最も強調したのが、「すべての WordPress.com の有料プランでプラグインとテーマをインストールできるようになった」というニュースです。

Telegram で使える新しい WordPress エージェント:Telegram から直接チャットできる、全く新しいWordPress エージェントのデモです。これは、WordPress.com の Open-Claw に着想を得たプロジェクトで、今後は WhatsApp をはじめ、多くのプラットフォームにも対応予定です。スマートフォンでの会話を通じで、WordPress サイトのあらゆる管理を行えるというアイデアに、「それなら、こんなこともできるのでは?」という反応が多く寄せられました。詳細は近日中にお知らせします。

皆様からのフィードバック:新機能のデモや発表はもちろん重要ですが、私たちが何より大切にしたのは、ユーザーや制作会社、開発者の皆さまと直接話す時間でした。WordPress.com をお使いいただく中で感じている「使いやすさ」や「改善してほしい点」など、多くの率直な声を聞かせていただきました。これらの意見はすでに私たちのロードマップや今後の計画にしっかりと組み込まれています。ブースへ足を運んでくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。

WordPress コミュニティ:さらに強固に

ムンバイでの 1 週間を通じて、コミュニティが着実に広がり、その勢いを増していることを実感しました。

廊下で交わされる何気ない会話、共に手を動かしたコントリビュータースプリント(共同作業セッション)、アフターパーティーでの賑わい、そして世界中から集まった仲間たち。そこで生まれるエネルギーは、かつてないほどの高まりを見せています。

まだ WordCamp に参加したことがない方は、今年こそ参加してみてはいかがでしょうか。大規模なカンファレンスへの参加はハードルが高いと感じるなら、まずお住まいの地域で開催されるイベントから始めるのをおすすめします。 events.wordpress.org でイベント情報をご確認ください。

現在、年4回、主要な WordCamp を開催されます。

  • WordCamp Europe — ポーランドのクラクフ、2026年6月4日〜6日。
  • WordCamp US — アリゾナ州フェニックス、2026年8月16日〜19日。
  • WordCamp Asia 2027 — マレーシアのペナン、2027年4月9日〜11日。
  • WordCamp India (未定) — 2027年から新しく加わるフラッグシップイベント。

会場でお会いできるのを楽しみにしています。

ナマステ、ムンバイ!